(公社)日本料理研究会 〜伝えておきたい、この仕事
合鴨を掃除して、筋と余分な脂身を半分くらいすき取り、皮面の脂身の部分だけに庖丁目を入れます。
フライパンにて皮面をじっくり弱火できつね色になるくらい焼き、余分な油を取ります。身の方も軽く焼きますが、身の方は火が入り過ぎると固くなるので注意してください。
合鴨を焼いた時に出た脂でしんなりするくらい炒めた玉葱を壺に敷き、その上に合鴨をのせ、さらに上に玉葱をのせ、100℃に沸かした割汁を合鴨にひたひたくらいまで張ります。壺を湯煎にかけ、壺の中の汁を70℃に保って20分ほど火を入れて仕上げます。
炊飯器を使って蒸します。割地を一度沸かして入れ、国産の真鴨の場合なら保温にして20〜25分で、ソフトできれいなピンク色に仕上がります。
きんこは歯ブラシで白い粉のところをかるく落とし、藁を敷いてたっぷりの水を張った鍋に入れてゆっくりもどします。きんこの質や、使う料理によっても時間は変わりますが、一日程度をめどにして、状態を見ながらもどします。
もどしている途中で庖丁を入れて腹を割り、水で洗いながら中の腸の筋、汚れをきれいに取り除きます。この後、再度弱火でもどし、きれいな湯であおって、アクを獲って仕上げます。手荒に扱ったり、アクが強いと角(つの)が壊れます。
もどしたきんこを椀汁で一度含ませ、水分をよく切っておきます。
生身に卵の素少々を入れてのばし、金漉しに掛けた車麩を晒しに入れ、水の中で洗って固く絞ったものをよく混ぜ合わせます。麩は生身の縮みを防いで食感も滑らかになり、切り口もきれいになります。これを先のきんこに鋳込んで子持とし、寒冷紗で包んで蒸します。
もどしたきんこを西京味噌7、酒粕3、味醂、酒、砂糖少々の酒粕床に2日ほど漬け込んで粕漬とします。この後、焼霜します。
もどして粕漬にしたきんこにそれぞれ黄身寿し、芋寿しを鋳込んで、上がりに焼霜をして吉野酢を塗り、さらに焼いて酒粕の風味を出します。もどしたきんこは水分がでますので、鋳込んでから、リードを敷いた巻簾で丁寧に巻いて形を整えます。
車海老は、油に落として5秒くらい、表面の色が変わったらすぐに冷水に落とします。
車海老に火を通すのは表面だけで、中はこのように生のままです。
車海老の殻は、生では剥きにくいのですが、油霜すると簡単に剥けます。
150℃くらいの油で、ゆっくり時間をかけて揚げます。
高温の油に落としますので雑菌が残る心配はないと思いますが、たこの吸盤には雑菌や汚れがたまりやすいので、水洗いはしっかり行ってください。
たこの皮のゼラチン質の旨さを出すため、表面だけ火を通すのですが、足の吸盤に火が通る程度が一つの目安となります。
むかご薯は、零余子だけでは旨みが少ないので、鳥皮などを加えています。油焼することにより薯自体の旨みが増し、油で炒めた雑きのことの相性もよくなります。
旬を過ぎた脂の少ない魚やクセのある磯魚を油焼きすることによって、失われていた脂分を補ったり、磯臭さを消すことができます。
皮面に庖丁を入れます。皮が固い場合などでも、歯切れ、身離れがよくなります。
長芋はスライスして繊切りとし、湯にて霜降りしてぬめりを取ります。その後、アルミホイルを敷いた面器に長芋を並べ、色が付くまで200℃の油を掛けて油焼とし、秋らしく枯木の雰囲気を出しました。
油を適量入れた湯でサッとあおって色出しします。水は沸騰しても100℃ですが、油を入れることでその温度が上がり、材料を入れても100℃以下に下がらず、旨みを閉じ込めて色よく仕上げることができます。